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IMC-Tokyo2008開催

インターネットを活用した新型メディアやコンテンツの今後を探る展示会「IMC Tokyo 2008」が2008年6月11日から3日間、千葉県の幕張メッセで開催された。業務用大型映像関連でも、デジタルサイネージや立体映像、新型フルカラーLEDなど、数多くの出展があった。

フルカラーLED関連では、香港に本社を置くライトハウステクノロジーズ(http://www.lighthouse-tech.com/)が、新型のブラックタイプ4mmピッチディスプレイ「R4-B」を展示した。発光部分を黒色化してコントラスト比を高めたのが特長で、シャープで引き締まった映像を表示する。輝度は2,000cd/u、コントラスト比は1000:1。1パネルの外形サイズは幅640mm×高さ480mm×奥行き129mm。重量19kgと軽量で、イベントなどでの設置や撤去も簡便という。定価は、1パネルあたり220万円。ブースでは、渇f像センターから機材提供を受け、縦4×横4パネルの対角126型ディスプレイを展示していた。

 

▲ライトハウステクノロジーズ・ブースの「R4-B」による126型画面(左)。同型ディスプレイは同展の富士通ブースのステージにも採用されていた(右)

 

潟eクノハウス(http://www.technohouse.co.jp/)は、円筒状のフルカラー映像を表示するシースルーLEDディスプレイ「litefast(ライトファスト)」シリーズを出展した。ドイツのKinoton社が開発した製品で、ディスプレイが透明なため、商品などを内部に入れて、実物の回りにメッセージや映像が浮遊しているかのような演出ができる。

RGBのLEDランプを1mm間隔で実装したバーを高速回転させて、周囲360度から見える円筒状のフルカラー映像を表示するしくみ。バーはRGB各1本ずつ計3本で構成され、これをディスプレイ内部に等間隔で3セット配置してある。画素ピッチはフルカラーLEDとしては最高精細の1mmで、至近距離から見ても鮮明な映像を表示できる。通常のドットマトリクスタイプのディスプレイに比べ、LEDランプの数を大幅に削減のできるのも利点だ。テキスト、静止画、動画の表示が可能となっている。

大型の「Motion」(表示部縦720mm、直径1,200mmまたは1,500mm)、中型の「Magic」(同600mm、750mm)、卓上サイズの「Mini」(同160mm、180mmまたは240mm)の3タイプをラインアップしている。価格はそれぞれ、およそ1,600万円、800万円、70万円となっている。

欧州ではすでに200台ほど売れており、ショッピングモール、鉄道駅、空港、映画館などで活用されているという。同社は同製品の日本総代理店で、商業施設、商店街、交通機関、アミューズメント施設などにおけるデジタルサイネージ用ディスプレイとして売り込んでいる。

 

▲「Magic」の表示部(右)と消灯時の「Mini」(左)。高速で回転させるとバーは見えなくなり、映像が浮かび上がる。

 

同展では、デジタルサイネージの専門コーナー「デジタルサイネージジャパン」が設けられ、多彩な展示がなされていた。

NTTグループのブースでは、香り発生装置を用いて視覚、聴覚に加えて嗅覚にも訴求する「香るデジタルサイネージ」、かざすだけでクーポンなどを携帯電話に取り込め、赤外線などで携帯電話間の送受信ができる「ToruCa」端末をデジタルサイネージに付属させた「携帯連携デジタルサイネージ」、カメラがとらえた画像を分析して何人がディスプレイに顔を向けているかを測る「カメラによる広告効果測定技術」、簡易で低価格(セットトップボックスとサーバで68万円〜)な映像配信システム「ビルアド」、2台のカメラによる実写映像から裸眼立体視用コンテンツを生成する「3Dデジタルサイネージ」などの提案をしていた。

  

▲香り発生装置(左)、画面右下にToruCa端末を装着したデジタルサイネージ(中)、画面上部に設置したカメラで広告効果を測定する(右)

 

松下電器産業グループのブースでは、救急救命に用いるAEDを内蔵したデジタルサイネージを紹介した。AEDを収納した画面下部の扉を開けると、映像と音声で救急メッセージやAEDの使用手順が流れるしくみ。

カノープス梶ihttp://www.canopus.co.jp/)は、フルHDコンテンツに対応したデジタルサイネージ用セットトップボックスの新製品「MEDIAEDGE-STB3 DS」(188,000円)や、コンテンツ蓄積型のフルHD・ネットワーク対応プレイヤー「HDMA-4000」(498,000円)などを展示した。同社システムはライブ放映を手軽に実現できるのも特徴で、施設内のイベント中継などに活用する例が目立ってきたという。

 

▲松下電器産業ブースの「AED連携システム」(左)、カノープスの新型STB「MEDIAEDGE-STB3 DS」(右)

 

 

▼産業用バーチャルリアリティ展開催

16回産業用バーチャルリアリティ展が、2008年6月25日から3日間、東京ビッグサイトで開催され、約88,000人の来場者で賑わった。立体映像、超高精細映像をはじめ多様な高臨場感映像システムが出展された。

日商エレクトロニクス(http://www.nissho-ele.co.jp/)とバルコ梶ihttp://www.barco.co.jp/)の共同ブースでは、バルコの新型高精細プロジェクタ「LX-5」による4K2K立体映像のデモを行った。「LX-5」は、4096×2400画素のLCoSパネルを採用し、コントラスト比10000:1、光出力3,500lmを達成した製品。これを2台使用し、120型スクリーンにメガネ式の立体映像を映し出した。プロジェクタや送出系などシステム一式の価格は5,000万円程度という。設計、シミュレーション等の需要を見込んでいる。

56型高解像度LCDモニタ「LC-5621」(バルコ製)は、3840×2160と4K2Kクラスの画素数をもち、コントラスト比1200:1、輝度400cd/uを実現した。価格は1台600万円で、自動車メーカー、医療機関などに売り込んでいく。

フィリップス社製「3Dディスプレイ」は、輝度落ちの少ないレンチキュラーレンズ方式による9視差の裸眼立体視ディスプレイ。光センサと42型3Dディスプレイを組み合わせ、マウスの代わりに空中で手を動かして立体映像を操るデモを行った。また、カタログを抜くとセンサが感知して、関連するコンテンツを立体映像で20型モニタに表示する情報発信型カタログスタンド「3D info Stand」は、展示会やオフィスエントランス、旅行代理店などの需要を見込んだ製品。ハードは一式160万円で、3年リースなら月3.5万円程度で導入可能となっている。

 

4K2Kクラスの高解像度LCDモニタ「LC-5621」(左)。「3D info Stand」(右)は8種類のカタログに応じた立体映像を上部3Dモニタに表示する

 

クリスティ・デジタル・システムズ日本支社(http://www.christie.jp/)は、光出力18,000lmのフルHD・DLPプロジェクタ「Roadster HD18K」2台を用いて、190型スクリーンに合計光出力36,000lmハイパワーで明るい立体映像を映し出した。また、高没入感システム「HoloStage」をコンパクト化し、低価格化を図った「HoloStage-Mini」も出展した。オフィスフロアで標準的な天井高3m程度なら、幅4m×奥行き5mの空間に設置できる。時分割方式3Dプロジェクタ「Mirage S+3K」(1400×1050画素、3,000lm)2台を用いて壁面と床面に映像を投写し、利用者の視点移動をモーショントラッキングセンサが感知して、没入感の高いVR体験をする仕組みだ。このほか、フルHD・DLPプロジェクタ「HD405」2台を内蔵し、球状スクリーンに地球などの映像を映し出す「OmniGlobe」、上方からの入射光の影響を緩和する「耐外光スクリーン」なども展示していた。

 

▲光出力合計36,000lmによる明るい190型立体映像(左)、球状スクリーンの「OmniGlobe」(右)

 

日本SGI梶ihttp://www.sgi.co.jp/)は、ソニーのSXRDプロジェクタ「SRX-S110」(4096×2160画素、光出力10,000lm)による183型の「4Kマルチユースシアター」を展示。スクリーン上に自由にマルチウインドーを切って、グラフィックス、動画など多角的な情報を並行して提示することで、4K2Kの高解像度をプレゼンテーションや学術発表の高度化に役立ててもらおうという提案だ。導入価格は、日本SGIが販売するグラフィクス・ワークステーション、ビデオプロセッサなどと合わせたシステム一式で、3,000万円〜4,000万円程度という。ハイグレードなプレゼンテーションや大学の講堂などに売り込んでいる。

 

▲「4Kマルチユースシアター」(左)。グラフィクス・ユニット「NVIDA」とウインドー奥の「SRX-S110」(右)。

 

大型スクリーン関連ではこのほか、潟Lャドセンター(http://www.cadcenter.co.jp/)が、クリスティ・デジタル・システムズ社製のシリンドリカルスクリーンシステム「ARK Vision」を用いたシミュレータを展示。松下電工は引き続き、半球ドーム型映像提示システム「CyberDome」を出展した。大学の工学部で3D研究などに用いられているほか、最近はモデルルームなどでも採用され、これまでに30システムほど販売したという。

 

▲キャドセンターのシリンドリカルスクリーンによるシミュレータ(左)。松下電工の「CyberDome」(右)

 

今回のVR展では、活性化しているデジタルサイネージ関連の展示も目立った。 可視化ソフトウエアなどを手がける潟Pージーティー(http://www.kgt.co.jp/)は、透過型スクリーン上の映像やデータを素手で直観的に操作できる双方向型ディスプレイ「イオン・タッチライト」を出展した。ミラー式の短投写距離プロジェクタ、40型透明スクリーン、赤外線カメラ、コンピュータを一体化してあり、1m四方のスペースがあれば設置できるコンパクトさが特長。米国・EON Reality社が開発したもので、米国ではすでに広告ディスプレイやプレゼンテーション、教育などで活用されている。価格は1台800万円。日本市場では主にデジタルサイネージの需要を見込んでいる。また、直視型液晶モニタの映像を透過型ガラススクリーンに反射させ、映像が宙に浮かんでいるように見える空間演出用ディスプレイ「TD」も紹介した。

 

▲「イオン・タッチライト」(左)。フレームに赤外線カメラ、スクリーン裏に短投写距離プロジェクタがある。「TD」(右)。

 

3D・VRのハード・ソフトを手がける三徳商事(http://www.san-toku.co.jp/)は、同社が販売するYES3D社製赤外線モーションセンサと、鰍ォもとの背面投写式透過型スクリーン「DILADスクリーン」を組み合わせ、双方向性のある大型ウインドー映像を提案していた。また、通常のプロジェクタ映像が飛び出して見える「DILAD空間パネル」も展示した。「DILADスクリーン」と特殊印刷を施したアクリル板を貼り合わせたもので、手軽な立体視を実現する。

 

▲双方向型大型ウインドー映像(左)。プロジェクタ映像を手軽に立体化する「DILAD空間パネル」(右)

 

潟fジタルアミューズ(http://dams.co.jp/)は、パララクスバリア方式の裸眼立体視液晶ディスプレイ「3D Para Vision」を出展した。40型以上はフルHD(1920×1080)画素で、視差は7以下。価格は、40型が120万円、46型が150万円。レンチキュラーレンズ方式に比べて大幅に安価なため、量販店や商業施設におけるデジタルサイネージネットワークの構築に適しているという。このほか、8.4型、10.5型などの小型もラインアップしており、プレイヤー一体型の3D電子POPディスプレイも販売していく。

報映産業(http://www.hoei.co.jp/)ブースでは、潟sクトロニクスのパララクスバリア方式裸眼立体視液晶ディスプレイ「SPATIAL VIEW」を展示した。8視差で、価格は42型が150万円、57型が290万円。すでに国内の資料館などで採用された実績がある。今後はデジタルサイネージ向けに拡販していく方針。

 

▲「3D Para Vision」(左)。「SPATIAL VIEW」(右)。いずれもパララクスバリア方式の裸眼立体液晶ディスプレイ

 

韓国のディジタル・コンテンツ協同研究センター(http://www.udcrc.com/)のブースには、「デジタル屏風」がお目見えした。画面下の脚部にRFIDタグ付きのカードをかざすことで、表示するコンテンツを簡単に切り替えられる。同センターは、コンテンツ制作を主業としており、デジタル屏風用に、水墨画などの環境映像や海中を再現した双方向コンテンツなどを揃えている。このほか、2D・3D変換ソフトウエアや立体視ディスプレイも紹介していた。

▲「デジタル屏風」。表示されているコンテンツは梅や菊をあしらった「四君子」

 

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